営業の市場価値は「5W1Hの設計ができるか」だと思う。

世の中で一番多い職種は、たぶん営業かな、と思っています。

合コンや友達との会話で

仕事何してんのー?

 

って聞かれたら

営業やってるよー!

って答える人が大半でしょう。
会話をAI化するなら、僕はまっさきにこの会話を学習させたいですね。

さて、ボリューム的には、機械や食品を扱う、商社系営業マンが一番多いのかな?という勝手な想像をしつつ、広告代理店や外資保険、住宅の営業さんなんかは、比較的給与が高いイメージがあります。広い意味で考えるなら、アパレルの店員さんや、僕も学生の頃バイトをしていた、ネット回線の販売員なんかも営業職と考えて良いと思います。

ただ、基幹統計(国なんかが行う、しっかりした統計調査)なんかには、”営業職”なるものは、実はありません。当たり前だけど「営業職」と一括りにはできませんよね。つまり総称ということです。

それでは、こんなだだっ広い”営業”畑で、どんな営業だと市場価値が高いのでしょうか?ということをこの記事では考えてみます。

そもそも営業職の価値って何?

そもそも論として、なぜ営業職なんてあるのでしょうか?おしゃべりしているだけなのに、給料をもらえるなんて。。。!

僕はこう考えています。

『そもそも、知らない人と会うことは、生物にとって恐怖だから。』

よく「人間の脳は古代のまんま」と言われますが、基本的に、人間は新しい人と会うことにストレスを感じます。「新しい刺激が好き」とか、「仲良くなった時に喜びを感じる」とかそういうのは置いておいて。
その視点で考えると昔は村・群社会です。見知らぬ人は、別の村なり群れの人間です。相手がどんな習慣でどんな考えか分かりません。もしかしたら侵略に来たのかもしれないですし、いきなり怒り出すかもしれません。そうなると、知らない人と会う時は、本能として身を守るために警戒しますし、すぐに逃げられるように全身に筋肉が緊張します。
そんな前提で考えると、営業マン(ウーマン)は、危険を犯して他の村に交渉に行く外交官のようなものです。

その前提なくして「私はアポに行くのが、なんとなくしんどい。だから営業に向いていない」といった考えは、そもそも視点がおかしいと考えています。

その上で「営業を長年やっていてアポが苦痛じゃない」というのは”慣れ”という学習機能のおかげです。

話が逸れましたが、営業の本質的な価値は、”人が本能的に避けようとするリスクに対して、企業利益を優先させた行動に対する価値”だと僕は考えています。

はい。いきなり全然違う方向に話が逸れてしまいました。

営業の市場価値を高めるには?

前置きが長くなりましたが、改めて、この広い”営業”畑で、どんな営業だと市場価値が高いのでしょうか?ここでは各分野の専門的な知識や、COOなどの肩書、英語力などの具体的なスキルを全部ひっくるめての考えなので、かなり抽象度が高くなりますが、ご容赦ください。

僕の考えているのはこんな感じです。

営業の市場価値は、5W1Hが設計できるか、だ!

僕が思うに、5W1Hの設計ができるかどうかが、営業として市場価値が高いかどうか、だと思っています。これは僕を含めですが、既に会社に存在する”売り方”に依存してしまっている人が多い気がします。その上で、いつ、どこで、誰に、何を、どうやっての設計を”意識して”行っているか、だと思っています。

これは広告やマーケティングと同じ、というか何にでも共通する事なので、当たり前の話なのですが。。

図で説明するとこんな感じです。

具体的に見ていきます。

いつ
接点をもつタイミングです。相手の予算時期と納品期間から逆算したり、種まきはいつの段階からするのかといったことです。また有名な実験として「囚人の仮釈放率は、昼食後や間食後高くなる」というものがあります。たしかイスラエルとシカゴ大?かどっかの共同実験だったと思いますが、判断力の権化である裁判官でも、タイミングによって考えが全然違うのです。(WILLPOWER 意志力の科学 )僕は月曜と金曜のアポや、17時のアポは結構避けます。逆算や狙いもなく、とりあえず適当なタイミングで営業していないか、という話です。メールマーケやECなんかはここらへんが敏感なように思います。
どこで
場所という意味で、相手のオフィスに伺うのか、来てもらうのか、これだけでも商品のブランディングが大きく異なります。またセミナーで名刺をばらまけば良いのか、SEOを対策をしてインバウンド対策に時間を費やすのか、マーケティングの要素が絡んできますが、顧客接点と商談をどこで行うかは非常に大切だと思っていて、同じトークを同じ人がするにしても、全く相手への刺さり方が変わると思っています。分かりやすい例だと、外資保険の人はよく高級ホテルなどを使うらしいですし、謝罪の場は、多少周りの声が聞こえる(密室は避ける)ような所を選ぶべき、といった心理学のテクニックも見受けられます。個人的な考えとしては、相手が大きな会社だと、会議室ではなく、テーブルと仕切りだけしかないMTGスペースや、食堂のテーブルなんかで打ち合わせをする事がありますが、こういう訪問自体は時間帯効果が合わないと考えています。理由は場所の問題で、相手にとって”雑に扱える場所”だと、本人が意図していなくても雑に扱われる可能性があるからです。そこに移動時間を1時間づつかけて行くぐらいなら、リモート商談にして、相手にもリモートができる”部屋”をとってもらうべきだと思います。そうすることで相手も”部屋”をとったという行動が生まれますので、一貫性の原理でコミットメント意識が強くなるのでは?というのが持論としてあります。
誰が、誰に
「誰に」は意識している人が多いと思います。決済者か否か、また代理店を使うなら決済者までどう伝わるのか、などです。その上で「誰が」も考える必要があると思っています。スピーカーが新人なのか、CEOという肩書がある人間か、営業の方法も変わってきます。名刺に資格名を載せるのは好きではありませんが、同じトークをしても、名刺にCEOと書いてあるのか否かでは全く結果が違うと思います。これは”自分を良く見せろ”ということではなく、自分の見え方に合わせたトークなり、営業の方法がある、ということです。だから自分の強みを理解すべきで、僕なんかは恥ずかしながら”トークの下手さ、営業っぽくない感じ”だと思っています。なのでゴリ押し営業はせず、デメリットを強調したり、引き気味の営業をしたりします。新人の頃によく読んでいたこの本にも(90秒で好かれる技術)発信者とトーク内容が噛み合っていないことの指摘があります。
何を、何に
これはまんま商品の魅せ方の話ですが、何に対して財布が開くかという話です。いわゆる”トンカチを買いに来るお客はトンカチが欲しい訳じゃない”というやつです。世の中には類似商品が死ぬほどあります。今買いに来たお客は、商品機能ではなく”手離れの良さ”が欲しいのかもしれません。新人時代は「自分自身を商品化しろ」とよく言われましたが、もしかしたら”可愛い子と話したいだけ”かもしれません。ベネフィットというやつですが、これが本当に難しいと思っています。客の課題が明確で、商品自体もそこにフィットしていれば特に考える必要はありませんが、そんなものはすぐに見つけられ類似商品が増えます。これはマーケティング領域の話にはなるのですが、営業こそ考えるべきと思います。「誰が・誰に」と同じですが、これも「何に」に意識が行きがちです。商品が一つでも、売り物は、”その営業と話す時間”でも”その企業商品を使う陶酔感”でもいいと思っています。コンサルや企画だけでなく、「何を」も定期的に見直すべきだと思っています。
どうやって
この「どうやって」に営業さんの意識は7割ほど持っていかれていると思いますが、トークや提案方法のことです。心理テクニックや発声など、いろんな切り方があると思いますが、「スラスラ自身を持って話す」が正解だと、頑なに信じる人が多いように思います。それは一つの武器ですが、例えば上で挙げた「誰が」や「どこで」との相互作用が非常に強いと思っています。例えば新人なら、”ギコチナサ”が可愛くて売れることも多いです。また最近ではほとんどトークをせずに動画を見せるだけの営業さんもいるようですが、これはこれでありなんじゃないかな、とも思っています。僕は滑舌が悪く、声もこもり気味です。なので逆に、トーク上手な所を無理やり見せようと頑張らないことにしています。そうすると逆に相手が聞く耳を持ってくれたりします。ここで言いたいのは、この「どうやって」に営業の意識が行き過ぎてしまっているが、上で挙げた要素との交互作用を意識すべきということ、また”営業っぽく”話すことが正解ではない、と理解することが大事だと思っています。

マーケティングだといろんな視点から考える”ツール”が世の中にはゴロゴロしていると思いますが、営業だと何故かトークに偏っているように思えます。

モレナク、ダブリナクを全く守れていない思考フレームワークですが(笑)ちょっと考えが詰まった時、参考になればとても嬉しいです。

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